黒潮が届ける海産物、海から一歩奥へ踏み込めば四国山脈に連なる猟場が永遠と続く―。 「土佐打刃物」は現在も四百年を超える奥義が脈々と受け継がれています。その特徴は前近代的である分、手作業の質に重きが置かれている点。そのため、現在も昔ながらの名人芸を継承する「いごっそう（＝頑固者）」が生み出す作品は愛好家を魅了してやみません。

土佐オリジナル白鋼」を幾重にも叩き、鍛え上げた逸品。切れ味、柔軟性、耐久性において他の追随を許しません。渋く黒光りする「平」は鋼の硬度をより高めるため焼き入れを行う際、炭火加熱することによって生まれた結晶。刃物の組織を安定させるため、184度で燃えたぎる秘伝の焼鈍油で焼き鈍しました。

尖端に向かって薄くなる切先、凍るような刃紋は究極の切れ味の証。重さで切る西洋のボウイナイフに一石を投じ、その概念を覆くつがすことに成功した剣鉈な（＝和製ボウイナイフ）の最高峰。アウトドア愛好家ならぜひ手元に置きたい逸品です。

しっくり手になじむ柄には、平の黒に調和する銘木黒檀を使用。オイルステインを施した朴の鞘は迫力のブレードがしっくり納められるよう綿密に設計されています。